「グーグルが信じる10の真実」v.s.「グーグル後の世界10のルール」
ジョージ・ギルダー著「グーグルが消える日」では、
「グーグルが信じる10の真実」と
「グーグル後の世界10のルール」とが、
対比させて記されていて、大変興味深いです(#^^#)
1.グーグルが信じる10の真実
①ユーザーに注目すれば、他のことは、ついてくるはずである。
グーグルのユーザーに対する「贈り物」によって、相手に同意を得て自由に個人情報が手に入り、新しい膨大なビッグデータが集まっている。
②一つのことを最大限うまくやるのが一番である。
情報市場を席巻するには、AIを活用して「検索と分類」で世界一になる必要がある。そのためには、全知の神に近づかなければならない。
③遅いより速いほうが良い。
慎重でバグがないよりも、スピード感がある方が良い。
④ウェブ上でも民主主義は機能する。
だがグーグルは、厳格な能力主義を採用し、採用者にも極めて高いIQや学力を求める。
⑤答えを必要とするのは、パソコンに向かっている時とは限らない。
モバイル広告の懸賞にAdMobを使おう。
⑥悪事に頼らなくても金儲けはできる。
インテリっぽく「莫大な富の裏には大きな犯罪がある」と示唆している。もしスピード感のある無料サービスが罪であれば、グーグルはデータセンターに太陽光発電や風力発電を導入し、二酸化炭素排出量をゼロにして、自信満々に埋め合わせをする。
⑦世の中の情報は増え続けている。
ビッグデータには、規模に関する収益逓減がない。
⑧情報に対するニーズは、あらゆる国境を超える。
私たちは世界市民であり、グーグル翻訳は世界的な優位性を与えてくれる。
⑨スーツがなくても真面目な仕事はできる。
デニムは、シリコンバレーの富と名誉を隠してしまうが、無理にスーツを着る必要はない。
⑩素晴らしいだけでは不十分である。
我々にとって素晴らしいのは「いつものこと」だ。
※これに対して、スコット・クレランドとアイラ・ブラッドスキーの二人は、
「検索と破壊」という書物の中で、グーグルを激しく非難していますが、
それは、“セキュリティーの重要性についての言及が一切ない”ことだということです。
この流れの中で、
ジョージ・ギルダー氏は、自ら「クリプトコムズ」(秘密保持の世界)と名付ける
新世界の10のルールを提唱しています。
2.グーグル後の世界10のルール
※以下の文章は私なりにまとめ直したものです。
ですので、元の文章を確かめたい場合は、本をお求めになることをお勧めいたします。
①セキュリティー・ファースト
セキュリティーは基本構造であるべきで、据え付けられたり、一時的に接続されたり、上からの命令で即興で作られたりしてはならない。
言い換えると、あなたは特別な時間や場所を占有または支配しているため、他のものと混ぜ合わされたり、平均化されるべきではない。
②「集中化」は安全ではない
デジタル資産が集中してしまうと、非常に便利な反面、アイデンティティの在りかを泥棒に知らせてしまい、頂上からの改ざんや盗みに対して、極めて脆弱になってしまう。
③セイフティー・ラスト
セキュリティーこそが第一に重要視されるべきであり、それを守るためであれば、
安全性は二の次となってよい。
④無料のものは何もない
人間の尊厳や価値を考えれば、対価が支払われないことなどあり得ない。
⑤時間は、費用の最終的な指標である
時間以外のあらゆるものが十分に有り余るほどあったとしても、時間の希少性は大金に勝る大事なものである。
⑥安定した通貨は、人間に尊厳と統制力を与える
時間の希少性を確保するためには、安定した通貨が不可欠である。
⑦生物学的非対称性を模した「非対称の法則」が大切
セキュリティーの確保のためには、秘密鍵が対称的ではなく、非対称的であることが肝要である。
⑧秘密鍵のルール
DNAを上からの命令で変えたり、混合したりできないのと同じように、秘密鍵も決して変えたり、混合したりできてはならない。
⑨秘密鍵は、政府やグーグルではなく、個人が持つべき
権力の分散のため(一極集中を避けるため)、個々人が秘密鍵を持つことがふさわしい。
⑩すべての秘密鍵とその公開鍵の背後には、人間の通訳が存在する
個々の人間という生身の人間を介するということがセキュリティーを確固たるものにする。
⭐上記の通り、著者のジョージ・ギルダー氏は、
セキュリティーということを最重要課題と考えており、それを蔑ろにしているという点において最も、グーグル帝国の崩壊を予見しているわけなのです。